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東京でいちばん天井が低いトンネル

 東京でいちばん天井が低いトンネルはこれだ。入り口には「桁下制限高 1.5m」と書いてある。トラックやミニバンや軽ワンボックス車はもちろん、パトカーも通ることは出来ないにちがいない。消防車や救急車も無理だ。ふつうの乗用車なら、写真のように辛うじて通ることは出来るが、屋根に会社名の看板や提灯やカタツムリをつけたタクシーはたぶん、通れない。

 このトンネルのあるのは、東京・港区港南2丁目。「高輪橋架道橋」が正式の名前だ。泉岳寺(せんがくじ)駅や品川駅の近くだ。このトンネルは、じつはJRのガードで、上には山手線や京浜東北線や横須賀線や貨物線や新幹線が通っている。
このため、長さ230mもある。

 写真の右側は、歩行者や自転車のための通路だが、身をかがめて通らないと危ない。さすがに自転車は通り慣れている人しか通らないのか、見事に背中を丸めて通り過ぎていく。

 以前、ノルウェーの大学が持つ観測船に乗ったことがある。潜水艦に限らず、船の中は一般には狭くて天井も低い。身長2mを超えるような北欧の大男の大学院生が、禿頭をどこかの天井にぶつけて血を出し、絆創膏姿の痛々しい姿になっていたのを思い出す。巨漢が多いノルウェーの船乗りだが、彼らと違って船内に慣れていなかったのであろうか。

 だが、大阪には、1.4mの高さのガードがあるという。見てみたいものだが、スポーツカーしか通れないのだろうか。大阪市北区中津駅近くのJR貨物線ガードだそうだ。

 東京にはこのほか、この泉岳寺のガードよりはずっと短く10-20mほどの長さのものだが、江東区北砂(砂町銀座のすぐ西)のJR貨物線ガード下の「1.6m」のものがあり、そのほか大田区中央2丁目のJR東海道本線のガード下が「1.7m」、足立区柳原1丁目の東武線スカイツリーラインのガード下の「1.7m」がある。

【2017年3月に追記】このトンネルは、品川・田町間に山手線の新駅が作られる工事で、なくなることになった。
新駅は、このトンネルの少し南側に作られることになり、このトンネルは、車道、歩道とも、高さを大幅に拡張して、少し位置を変えて移設される予定だ。なお、新駅の工事が終わるのは2024年度(予定)ということになっている。ちなみに、このトンネルはお役所言葉では「高輪橋架道橋」という。

【2017年6月に追記】 このトンネルは、2017年6月現在、まだ、あった。普通のタクシーは通れないが、東京無線など都内のタクシーの一部には、天井の社名灯が天井にぶつかる可能性があるので、社名灯の頂上部を数cm削った「高輪橋架道橋特別仕様」があるという。


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