今月の写真
数字の一人歩き、ここにも。

確実に頼れるものがない時代。人々がよりどころにするのは数字になる。

これは、あるテレビ局の玄関を入ったところに、毎日掲示してある視聴率の数字。右後ろのドアの大きさからわかるように、人の背よりも高い大看板である。いやでも、前を通る全社員の目に入る。

%以下の微小な数字の上がり下がりに関係者の一喜一憂がある。視聴率を計算する母集団のサンプル数が限られているから、数字にはプラスマイナス4%もの曖昧さがある。しかし、そんなことはどこかへけし飛んでしまって、ここでは数字がすべて。

ある意味では、どんなに内容がよくても、目が高い一部の視聴者の評判が高くても、数字が低迷していれば、 その番組の将来はないのである。

数字といえば、最近話題になった「首都圏の直下型地震が4年以内に70%」という東京大学地震研究所の”予言”も話題になった。いままでの政府の地震調査委員会の「30年以内に0.5〜2%」といった低くて、どうでもいい数字と違って、「4年」「70%」という数字が一人歩きして、騒ぎになったのであった。しかし、これも、すべてのニュースを呑み込んで消費してしまう現代にあっては徒花のひとつになってしまった。

【2018年1月に追記】 あるテレビ関係者に聞いたら、視聴率を出すのは首都圏(関東圏)だけの調査だという。このため、番組としては全国に流すものの、視聴率の微小な数字に目の色を変える番組製作者、そしてCMの提供社にとっては首都圏だけを相手にするのが普通だという。某週刊誌は、売上の80%が首都圏だという。それゆえ記事の話題も首都圏の読者向けになる。かくも、日本は首都圏偏重になってしまっているのだ。


じつは大阪のテレビ局も、結局は首都圏を向いている(下の写真)。


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