『地震予知と社会』
(古今書院、2000円。 2003年5月15日発行)

『地震予知と社会』 古今書院、本文147頁。A5版ソフトカバー。ISBN4-7722-4046-2。2000円

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平田光司・神沼克伊監修、神沼克伊・溝上恵・島村英紀・杉原英和・泊次郎の5人の共著。
総合研究大学院大学の共同研究「科学と社会」での発表と討論を出版用に書き直したもの



目次

1 地震予知と火山噴火予知における研究者の役割 神沼克伊

1.1 はしがき
1.2 地震・火山と研究者の役割
1.3 研究成果の発表の場
1.4 有珠山と三宅島の噴火活動
1.4.1 有珠山の噴火活動の経過
1.4.2 筆者がみる反省点
1.4.3 三宅島の噴火活動の経過
1.4.4 筆者がみる反省点
1.5 問題点のまとめ
1.5.1 防災対応
1.5.2 地元への顔
1.5.3 予知連への意見統一
1.5.4 噴火活動中の発言
1.5.5 学会活動の発表
1.5.6 筆者の主張のまとめ
1.6 討論
1.6.1 地震予知はできるとの誤解
1.6.2 情報は多いほうがよい
1.6.3 社会の成熟度
1.6.4 予知の専門家はいない
1.6.5 タイムスケール
1.6.6 信実に対するジレンマ

2 地震予知と社会 溝上 惠

2.1 地震情報に関するいろいろな問題
2.1.1 複雑な問題をはらむ「地震予知」
2.1.2 地震情報を社会に還元するときにつきまとう問題とは
2.2 地震防災
2.2.1 「大地震はいつどこで起きるかわからない」を前提にした地震防災計画
2.2.2 先進的な地震学者。今村明恒の業績
2.2.3 巨大地震の切迫性を想定した防災計画
2.2.4 地震の本性に根ざした予知研究を
2.3 東海地震
2.3.1 東海地震の直前短期予知と「いわゆる予知」との違い
2.3.2 「前兆滑り」に伴う地殻変動の早期検知
2.3.3 GPS、歪計による異常検出から判定会召集までのシナリオ
2.3.4 東海地方およびその周辺における最近の異常変動
2.4 まとめ

3 地震予知の可能性・現実性 島村英紀

3.1 地震予知の可能性
3.1.1 地震はなぜ繰り返す
3.1.2 パークフィールドでの教訓
3.1.3 物理学としての地震予知ができる条件と現状
3.2 地震の前兆現象
3.2.1 前兆への希求が数々の報告を生む
3.2.2 報告された前兆に客観性があるかどうかが問題
3.3 地震研究とその体制
3.3.1 破壊現象としての地震の解明は非常に困難
3.3.2 応用開発級の国家プロジェクトとなった「予知大国」日本の研究体制
3.3.3 阪神・淡路大震災以後の体制変化
3.3.4 縄張り意識がもたらした伊東沖噴火時の対応
3.4 備えあれば災害は減る

4 地方自治体から見た地震予知と地震防災対策 杉原英和

4.1 地震対策の目標とする地震
4.2 地震対策の目標と地震予知
4.3 地方防災から見た地震予知の今昔と対策
4.4 短期的予知情報への混乱

5 地震予知と「成熟した社会」 泊 次郎

5.1 なぜ、いい加減な地震予知情報が出回るのか
5.1.1 地震予知情報の実例
5.1.2 地震予知に高まる期待
5.1.3 地震学者の責任
5.1.4 ジャーナリズムの責任
5.1.5 防災リテラシー、合理的・科学的思考の不足
5.2 地震予知にどれだけのメリットがあるか
5.2.1 地震予知についての科学的検証の必要性
5.2.2 地震予知の不確実性
5.2.3 前兆と警戒宣言
5.2.4 地震予知ができた場合のメリット
5.2.5 地震予知のマイナス効果
5.3 リスクと「成熟した社会」
5.3.1 自然災害防止の新しい流れ
5.3.2 危険情報は生かされているか
5.3.3 「成熟した社会」をめざすには

6 全体討論

6.1 地震予知の現状をめぐって 神沼克伊・合庭 淳・溝上 恵・保坂直紀・高岩義信・井口春和・平田光司・磯部秀三・柴崎文一・永山国昭・島村英紀
6.1.1 予知と予測の使い分けはあるのか、どうか
6.1.2 東海地震の判定会の流れについて
6.1.3 「直前予知」の段階で情報が発信される
6.1.4 判定の最終責任者と行政責任をめぐって
6.1.5 判定会の判断が与える社会への影響について
6.1.6 天気予報のデータ開示体制を地震に応用する可能性について
6.1.7 歪計の観測体制とコストをめぐって
6.1.8 前兆現象と地震の物理学について
6.1.9 地震の物理学とデータとの関係
6.1.10 必要なのは、研究体制、人員、予算の拡充か
6.1.11 曖昧な領域を扱う社会科学
6.1.12 地震予知に関する基本的なバックグラウンドとは
6.2 確率と地震対策 神沼克伊・平田光司・泊 次郎・井口春和・林 衛・高岩義信
6.2.1 なぜ地域の実情に応じた地震対策がとれないのか
6.2.2 地震確率の根拠は、地形学・地質学
6.3 成熟した社会での地震予知 神沼克伊・高岩義信・泊 次郎・平田光司・林 衛・井口春和・今井直子・杉原英和・中橋徹也・福島佐紀子
6.3.1 地震予知の実現可能性をめぐる意識について
6.3.2 成熟した社会における科学者と社会の関係をめぐって
6.3.3 保険料率、危険度など地域の実情に応じた情報発信を
6.3.4 耐震・耐久性の高い住宅で社会全体の防災コストを低減

7 「科学と社会」の共同研究について 平田光司

『地震予知と社会』の奥付】

著者
神沼克伊 かみぬまかつただ 1937年生まれ 総合研究大学院大学名誉教授 地球物理学が専門
溝上 惠 みぞうえめぐむ 1936年生まれ 東京大学名誉教授 地震学が専門
島村英紀 しまむらひでき 1941年生まれ 北海道大学大学院理学研究科教授 海底地震学、海底地球物理学、地震学一般が専門
杉原英和 すぎはらひでかず 1958年生まれ 神奈川県防災局防災消防課 地震防災対策が専門
泊 次郎 とまりじろう 1944年生まれ 朝日新聞編集委員 自然災害、地球科学などを担当
平田光司 ひらたこうじ 1951年生まれ 総合研究大学院大学教授 ビーム物理学、科学論が専門


書名 地震予知と社会
コード ISBN4-7722-4046-2 C1036
発行日 2003年5月15日初版第1刷発行

監修者 神沼克伊・平田光司
Copyright C 2003 KAMINUMA Katsutada and HIRATA Kohji
発行者 株式会社古今書院 橋本寿資
印刷所 三美印刷株式会社
製本所 三美印刷株式会社
発行所 古今書院 〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台2-10
http://www.kokon.co.jp/
電話 03-3291-2757
FAX 03-3233-0303
振替 00100-8-35340

(担当編集者は関田伸雄氏)

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